ゴールデンウィークに突入した今日この頃、反マルチの皆さまはいかがお過ごしでしょうか?

今回のエントリーは「特別編」です。

Twitterで、ダイヤモンド社の子会社ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ社運営の「ザイFX!」編集長、井口稔さんからご質問がありまして、その質問にお答えするエントリーとなります。

その質問とは「なぜマルチ商法が完全禁止されないか」です! 
かなり真面目な内容ですので、反マルチの皆様におかれましてはぜひ参考に。
ではでは・・・


まず簡単に理由をまとめておきます。

・特商法は、メタ法律(←法律の専門家ではないので、イメージ的造語です)である、憲法の規定に左右されている。
・憲法は最高法規であるため、憲法違反である規制内容を立法化できません。

以降、上記まとめについて、持論を展開します。
あくまで持論ですから、「そこはちょっと違うよ」という法律専門家のご意見を伺いたいと期待している側面もあって今回のエントリーとなりました。
じゃんじゃんご意見ください!

 
まず、私がよく比較をする「暴力団と暴対法、暴排条例:なぜ暴力団を全面禁止にできないか」を説明します。
卑近な例をもって、理解が進めば幸いです。

 
憲法第21条にある「結社の自由」により、暴力団はその集まりや団体そのものを規制されないことが保障されています。
「第二十一条:集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」

 
ここから判るのは、暴力団を「構成」すること自体が制限できないということです。
団体の存在は規制できませんが、団体構成員の「行為・行動」が公共の福祉に反するなら、規制しなければいけません。それが法律というものですからね。
その規制法が暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)です。

また、更なる行為規制を掛ける為、自治体により暴力団排除条例が制定されている場合もあります。

結論として、暴力団という「集団」を禁止せず、暴力団の存在は合法だが「構成員の不法行為にのみ規制をかけている」のが憲法の範囲を逸脱できない現行法の限界です。
 

それでは、同じように特商法下で規制されているマルチ商法においてはどうでしょうか?

憲法第22条にある「職業選択の自由」により、
「第二十二条:何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。」
 
特定の職業を営む自由を営業の自由という。日本国憲法にはこれを保障する直接の規定はないが、職業選択の自由を保障しても営業の自由を認めなければ、職業選択の自由の保障が無に帰することを理由として、営業の自由は憲法第22条により保障されると解するのが通説である。(Wikipediaより)
 
 
上記の憲法条項により、マルチ商法の会社(以降マルチ会社という)そのものの存在は規制できないと考えています。

商法を禁止する法律には「ネズミ講防止法」(無限連鎖講の防止に関する法律)という法律があります。この法律は「商法の禁止」ではなく「ネズミ講を、商行為ではなく必ず破綻する詐欺行為」と捉えているので、上記憲法22条の範疇から外れるという認識です。詐欺は詐欺だから、会員になっただけで詐欺師認定だぞ犯罪だぞってことですね。
 
ただ、暴力団に対する暴対法・暴排条例と同様に、マルチ商法においてもその構成員(社員および会員)の「行為・行動」に規制を掛けることは可能です。
マルチ商法の成り立ちとその規制の歴史は、割愛させていただきますが、国会で幾多の審議を経て、マルチ商法など業者と消費者の間における紛争が生じやすい取引から消費者を保護する特商法(特定商取引に関する法律)が漸次改正され、 規制の輪を縮めてきたのが「日本の法律の限界、現状」です。
 
特商法により、マルチ商法(=連鎖販売取引=ネットワークビジネス=MLM)は事実上遵法勧誘ができないところまで規制されています。
たとえば、業者(会員)が非会員を呼び出す際に、「マルチ商法である」「会社名」「勧誘または販売目的である」を提示しないと違法行為となります。

しかしながら、会員とマルチ会社は「雇用契約やFC契約のような責任関係を持たないよう」工夫され、切り離されています(あくまでも会員は個人事業主、会社の商品を取り扱えるだけだから知らんというトカゲならぬネズミのしっぽ切り)。
会員が違法行為をちょろちょろしても会社には責が及ばないよう、「うちの商品を売ったり会員勧誘している個人代理店がやったこと」「会社には責任がない」と逃げを打てるのです。

また、マルチ商法のような連鎖販売取引を完全禁止にしてしまうと、フランチャイズなど多段連鎖しない構成の類似商法をどう扱うかの問題も生じる、と聞いたことがあります(これはソースなし、どなたかご教示ください)。

消費者庁
にヒトモノカネがなく目が行き届かない 、証拠が明確でない場合が多く警察がまともに取り合ってくれない、被害者=加害者となってしまう構造のため申告しにくい、というオトナの理由もいくつか散見されますゆえ、ここも何とかしないとマルチ商法をのさばらす事になりますよね。

以上が「マルチ商法を完全禁止できない理由」の説明でした。

ここで終わると、どこかの泡沫政党のように「反対ばっかりで対案がない」と言われてしまいますので、自分なりに事実上マルチを根絶やしにするべく、規制強化案を挙げてみました。
立法府の皆さん、またマルチ商法についての答弁エキスパート・共産党の大門議員、ぜひぜひよろしくお願いします♪
 
<更なる法規制強化案>
・連鎖段数制限を設ける(3~5段、確か韓国は5段に規制されています)
・会員の不法行為は漏れなく会社に連座する「連座制」
・契約時の法律遵守確認書面義務化(会社提出ではお手盛りになるので、WEBアンケートフォームにより被勧誘者が管轄省庁へ提出、違法行為が一つでもあった場合は即検挙、例外なし)

<その他、可能ならば>
・個人の責任をも追及するため、消費者庁内外に「マルチ商法Gメン」を組織し、摘発を行う(ボランティアでも私はやりますよw)

※日弁連も特商法強化意見書を政府向けに送っているが、非常にヌルいですね

▼正直な話、どこぞやの議員のようにマルチ商法側から献金を受けてたりもするので、立法府の忖度がないとは言えないと思いますが・・・ 忖度って言葉がネガティブな意味になってしまい、悲しい限り・・・